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高野悦子「二十歳の原点」を読みました。
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年末からちょっとずつ読んでいたのですが、先日ようやく読み終わりました。
これは、1969年に立命館大学の学生だった、高野悦子さんの日記です。
学生運動が盛んだった時に書かれているので、その頃の様子を知りたくて読みました。

活動資金が、結局親の仕送りだという問題(駒場寮に住んでいた人に関しては、自分調べでは
仕送りなしで完全自活、授業料免除の人も多かったですが)とか、
私が当時感じた疑問と全く変わらないことが書いてあって、
やっぱ実際に行動してた人自身に、自己矛盾の認識はあったんだなと思いました。

私は60年代の学生運動については、ほぼ知識はなく、
2002年に、東大の「駒場寮廃寮反対運動」を端からみてただけですが、
その間、当事者以外の、いわゆる「活動家」の人を見ていると、
きちんとした思想を持って具体的行動をしてた人もいると思うのですが、
正直「この機に乗っかって、何かをしたいだけっぽいな…」という印象を受ける人もいて、
「この人たち、いろいろ言ってるけど、結局この間の生活費ってどこから出ているのか?」
という疑問はありました。

また、この本を読むに、この時代の京都の学生運動というのは、
基本的に東京の後追いという認識が学生にもあって、
そういう焦燥感と危機感とコンプレックスみたいなのがあったみたいだから、
余計雰囲気先行、理屈先行になってしまうのかなと思いました。
駒場寮の時も、「東大の寮がなくなったら、自分たちの大学の寮もなくなってしまうのではないか?」
という危機感を感じて、やむにやまれず応援に来ていた関西の学生がいました。

しかし、高野悦子さんという人は、自分でも書いてるけど、
生活実感からの思想が全然ないし、何よりも、運動に対しての使命感とか、
切実さが感じられません。
「クラスのみんなに置いていかれないように、仲間はずれにされないように、
20歳なんだから、これくらい勉強していないとダメな感じがするから」
形式的に運動に参加している印象を受けました。
まあ、そういう時代だったのかもしれませんが…
そんな程度でやっていたから、
結局なじめなくて、いろいろダメになって、死んでしまうのかもしれませんが…
でも逆に言えば、高野さんの孤独感とか違和感というのは、若者にとって普遍的なテーマだから、
未だに受け入れられる要素があるのかも。

個人的には「マイ・バック・ページ」のほうがシンパシーを感じました。

全共闘運動〜現代の学生運動について理解を深めるためには、自分は読書量が全然足りないので、
この辺はもっと資料を読んで、考察する必要があるなと思いました。
いろいろ知ると、また別の視点で読むことができるかもしれないです。

この「二十歳の原点」は映画化もしていて、そのサントラも資料として図書館にあったので、
聞いてみたのですが、これはなかなか良かったです。
「夜」という曲の歌詞は、「コンフィデンス」となってますが、このコンフィデンスというのは、
THE ALFEEの改名前のバンド名で、実際に歌詞を書いてるのは、高見沢俊彦さんなんだそうです。
これが実質のプロデビュー作みたいです。
ソース→http://smash.music.yahoo.co.jp/top/repyjm00703/
私は高見沢俊彦さんが好きなので、このような形でデビュー作に辿りつけて、うれしい。

二十歳の原点(+2)(紙ジャケット仕様)

四人囃子 / ユニバーサルJ



あと、この本の装丁は杉浦康平さんなのですが、
先日、母校であっていた杉浦康平展で、この時期の装丁についても解説があり、
杉浦康平さん独特の、表紙に文字をいっぱい使うデザインは、
大学に昔よくあったタテカン(立て看板)の影響であるということを
知り、興味ぶかかったです。

二十歳の原点 (新潮文庫)

高野 悦子 / 新潮社


二十歳の原点 (1971年)

高野 悦子 / 新潮社


by petit_montre | 2012-01-14 09:00 | 絵日記
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